< 第1回:ところでACMって?ピアノ、ギルド検定って? >
「先生が代表しているACMってなんですか?」と聞かれた時に
「アメリカの、ピアノ教師の、NPO団体です」と答えています。
私がACMを説明する上で重要だと思うポイントは3つ...
1)NPO団体だということ
2)ピアノ教師の為の団体だということ
3)本部はアメリカにあるということ
本日は米国ピアノ教師のNPO団体ACMがどのような活動をしているのかを
1つ目のポイント "NPO" という言葉からスタートし
団体と米国ギルド・ピアノ検定試験についてご紹介します。
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突然ですが、
NPOの意味....ご存知ですか?
ここでちょっと、
英語の時間です。
NPOとはNon-Profit Organizationの略(アクロニム)です。
「Non-profit」とは利益がないという意味で、
最後に「Organization=団体」という単語をくっつけて...
「NPO=非営利団体」の完成です。
非営利団体と聞くとなんだか...
良いことをしている団体のような...印象を受けます (^^)
ところでACMは何を非営利で行っているのでしょうか?
↓
「米国ギルド・ピアノ検定試験」の開催です。
米国ギルドピアノ検定試験は1929年にアメリカのテキサス州で始まりました。ギルド試験を主催するACMの設立者、イリル・アリソン教授は当時テキサス州、ハーディーシモン大学の音楽専科の学部長を務めながら、自らもピアノの指導に携わっていました。
そしてアリソン教授は日々のピアノレッスンを通して「子供達が目的を持ってピアノのレッスンに励む機会を!」という思いで、第1回目のギルド試験を開催しました。1929年の第1回目のギルド試験の参加者は45名だったそうです。2017年度、ギルド試験は通算88回目の開催を迎えます。45名でスタートしたギルド試験は今では毎年11万以上が参加するピアノ検定へと成長しました。
さて、少し話をずらします。
「ヨーロッパ、ピアノ」や「ヨーロッパ、クラシック音楽」と聞くと、
日本の方は「クラシックの本場!」という印象をお持ちだと思います。
しかし「アメリカ、ピアノ」となるとどうでしょう。
「...う〜ん、ジュリアードしか...」や「ジャズ?」という方が多くいらっしゃいます。
「アメリカ、ピアノ」.......... う〜ん。
ギルド試験の受験者の中には、
子供の頃のヴァン・クライバーンの名前があります。
言わずと知れたアメリカを代表するピアニストです。
ヴァン・クライバーンは1934年、ルイジアナ州で生まれ6歳の時にテキサス州に引っ越します。ピアノの腕に磨きをかけ、当時ニューヨークにあった音楽芸術研究所 the Institute for Musical Art に進学します。このthe Insitute for Musicial Artは後にジュリアード音楽院と呼ばれ、皆様がご存知の通り、アメリカを代表する音楽院となりました。
1958年クライヴァーンが23歳の時、モスクワで第1回チャイコフスキー国際コンクールが開催されクライヴァーンは見事ピアノ部門で優勝します。優勝後アメリカに帰国すると、アメリカ中が彼の快挙を喜び、ニューヨークでは優勝パレードが行われました。集まった数、10万人。クラッシクの音楽界でコンクールに優勝し、クライバーン程国民から称賛された人物は過去にも今にもいなのではないかと言われています。しかしどうやら、アメリカの称賛は、彼の音楽の芸術的快挙を喜ぶものと当時に、アメリカと当時のソビエト連邦との政治的背景も手伝っていたようで、アメリカのTime紙は「クライバーンがモスクワを制した!」という内容の記事を載せていたとの事です。
そしてこのチャイコフスキー国際コンクールでの優勝をきっかけに、クライバーンのお母様はクライバーンの名前を掲げたアメリカで開催する国際的ピアノコンクールをスタートする事にします。当時、クライバーン家と仲の良かったACM設立者のアリソン教授はこのヴァン・クライバーンピアノ国際コンクールの立ち上げに携わりました。
さて、10年ほど前のNew York Timesの記事に
クライバーンはコンクールの審査員という立場になる事を望んでいない...
という内容のインタビューがありました。
その理由は....
「演奏者にはランクをつけたくないから......」
しかし、私は友達とその記事を読み
「え~〜〜自分の名前の国際コンクールあるじゃん!」
優れた音楽家の発想は理解しがたい...
と突っ込んでいました。
(ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールは、お母様がスタートしたという事を知った時に、腑に落ちました......)
すっかり話がクライバーン寄りになってしまいました。
さて、ACM設立者イリル・アリソンは設立当初の挨拶文に
「ギルド試験に参加する事が、生徒にとっては日々のピアノに向かう励みとなり、目標無きピアノレッスンの防止をしたい」と書いてあります。
88年前に書かれた文章ですが、
今も昔も、目標を目指す事で人は成長し、
同時に常に指導する側も目標を持って挑む事の大切さを説いている気がしました。
ACM設立当時の1929年。
アメリカではどういた子供達がピアノの個人レッスンを受けることができたのでしょうね。
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第1回はNPOという単語から始まり、
最終的にギルド試験経験者 ”クライバーンの話”となってしまいましたが...
第2回は2つ目のターム
「ピアノ教師の集まり」からACMの活動及び
ギルド試験についてお伝えします。
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